人気の作家アニー・ベイビーさん  特別インタビュー

中国でたいへんな人気の作家 ― アニーベイビーさんにインタビューしました。


■ 内 容: ※・・・アニーベイビーさん、・・・メルマガ編集部



作家になったきっかけと動機についてお聞かせ下さい。


動機は特にありません。もともと読書をする習慣があって、色々な本を読むのが好きでした。初めのうちは「思っている事を文字で表現出来たら」と考えていただけですが、最初の短編小説が発表され、それが多くの読者に喜ばれて自然と本を出版するという流れになって…そうして続けて作品を書いていたら作家になっていたという感じです。


2000年から今までに出版された著書8作品を紹介してください。


2002年に出版された写真集『薔薇島』は、読者には所謂“分岐点”の作品としてとらえられているのではないでしょうか。初期の作品である「さよなら、ビビアン」や『8月は終わらない』、『彼岸花』は、どれも心の中に存在する子供の自分によって書かれたものです。これらの作品では、一人の女の子の激しさ、過激さ、自我と世間との葛藤を描きました。でも『薔薇島』以降は、その女の子の中に迷いが生じはじめ、何とか自我と折り合いをつけようとしています。

2006年に出版した長編小説『蓮花』は、チベット地方のヤルツァンポ大峡谷を歩いて旅した後に書きました。秘境と言われるメドを舞台にした、私の作品の中では最も人気のある小説だと思います。

2007年に出版された散文集『素年錦時』が私の一番新しい作品です。この作品では自分の境遇、家庭、子供時代、南部地方のこと、喪失感、生命に対する客観性、また夢の中の記憶、創作活動や作品についても触れていますし、素質や人との関わり、孤立、活動範囲、価値観、読書、世相、人情…などの様々な事象に対する個人的な考えも示しました。多くの読者に波紋を投げかけた作品でもあります。

そして2009年、もしかしたら新しい長編小説を書くかもしれません。作品の変化は、テキスト自身が選んだものとも言えますが、読者と書き手が直面している時代の問題が映し出されたものとも言えます。


以前に「第一作目の小説を書き終えたとき恐れを感じることはなかった。しかし文章を書けば書くほど恐れがその形を現してくる。それはまるで深い谷まで辿り着き、どこまでも続く道と高く聳え立つ山々を目の前にして、その果てがどこにあるのか見失っているような感じだ」(『素年錦時』より)と書いていましたが、これはずっと続けてこられた創作活動を通じて感じておられることでしょうか?


これまで私は、“ 書く”ということに対して大きな敬意を払ってきました。中国の古文を沢山読んでみると、後世の人々は取るに足らない小さな存在だと感じます。しかし人々が今もなお創造し、表現し、探求し続けるのは、今この時を生き、自分が存在した時代の印を記録したいからではないでしょうか。書くことに対して傲慢になれる人はいないと思いますよ。


あなたの作品の内容はどれも独特ものが多く、そもそもは少数向けの作品だと思いますが、実際は常に売り上げがトップクラスです。特に最近の『蓮花』や『素年錦時』はどちらも短期間で60万部を突破していますが、あなたの作品がヒットする原因は何だと思われますか?それは社会のある一部の人たちの考え方や状況と何か関係があるのでしょうか?


初期の作品に退廃的な情緒が比較的多く盛り込まれているのは、『さよなら、ビビアン』等の作品が青春期について描かれたものだからかもしれません。ただ、年齢を重ねるごとに、まるで暗闇の中に一人立ち尽くしている様な、えもいわれぬ感覚を更にはっきり自覚するようになります。でもその感覚を文字で伝えるのは微妙で難しいことです。 私の作品の読者構成は少し複雑で、年齢や社会的地位の幅が広く、10代から40代の方までいます。しかし読者が作品から得るもの、或いは読者が作品に求めるものには歴然とした違いが見受けられます。たぶん彼ら自身の年齢や心理状態が影響を及ぼすのでしょう。私の作品が鏡となって読者は作品の中に自分の姿を映し出しているのです。ですから色々な人が同じ作品でそれぞれの解釈をしたり、違う感想を抱いたりするのだと思います。それはとても自然なことです。作品についての解釈や考えが混乱していても時間が経てば自然に不純物は沈殿していきますし、作品の核心はあくまで作者が秘密として保有しているものです。大衆向きでなかろうがベストセラーになろうが、関係なく、作品の核心ははっきりと曇りなく存在しています。


創作活動とプライベートな時間をどんな風に使い分けていますか?


大体2年に1本の割合で作品を書いて、長編小説と散文を順番に出版します。撮影や写真の発表もしています。読者は小説、散文、写真のどれも喜んでくれますから。普段は読書したり、音楽を聴いたり、旅行が好きです。読書のジャンルは色々ですね。文学作品を読むことは比較的少なくて、現代作品もあまり好きではありません。プライベートでの趣味は割りと多くて、花や野菜、樹を育てたり、料理をしたり、展覧会に行ったり、昆曲を聴いたり、蚤市をぶらぶらしたり、骨董品店に行ったり、映画を見たり、手仕事をしたり…やりたい事が沢山です。


日本人にとって3月は特別な時期で、別れの季節であり旅立ちの季節でもあります。また桜が咲き舞い散る季節とも重なって、多くの人がこの季節に忘れ難い思い出を抱えていますが、あなたが一番好きなのはどの季節ですか?その理由も教えて下さい。


どの季節も全部好きです。それぞれの季節に特徴がありますし。四季がはっきりとした気候や景観は、人々の生活や日々感じることを充実させますね。ですからどれが一番ということはないです。どの季節も好きだし大切です。3月も好きですよ、花が沢山咲くので。私、花が好きなんです。




アニー・ベイビー

■プロフィール
アニー・ベイビー

中国銀行、広告会社、インターネット会社、出版社、雑誌社勤務の経歴を持つ。現在北京在住。


1998年初めての小説が発表される。作品の多くは工業化大都市に住む漂流者の生活について描かれている。最初の短編小説集『さよなら、ビビアン』は2000年1月に出版され、広く注目を浴びた。現在までに、散文及び短編小説集『8月は終わらない』、長編小説『彼岸花』、写真集『薔薇島』、長編小説『二、三のこと』、小説散文集『清醒紀』、長編小説『蓮花』、散文及び短編小説集『素年錦時』の8作品が出版されている。作者自身が撮影した写真及びデザインが作品の表紙を飾っている。どの作品も次々と書店や全国文芸図書のトップセラーリストに名を連ねている。ドイツ、日本、ベトナム、香港、台湾などその他の都市や国家でも出版されている。


〔著作年表〕
2000年1月 短編小説集『さよなら、ビビアン』
2001年1月 散文及び短編小説集『8月は終わらない』
2001年9月 長編小説『彼岸花』
2002年9月 写真集『薔薇島』
2004年1月 長編小説『二、三のこと』
2004年10月 小説散文集『清醒紀』
2005年5月 『薔薇島』改訂版
2005年8月 『8月は終わらない』改訂版
2006年3月 長編小説『蓮花』
2007年9月 散文及び短編小説集『素年錦時』


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