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建国60周年の式典、盛大に

中華人民共和国の建国60周年を祝う国慶節(建国記念日、10月1日)の記念式典のようすを、日本でもテレビニュースでご覧になった人は多いのではないでしょうか?
中国の武装力であり国防を担う「中国人民解放軍」は、その大規模な軍事パレードで大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの最新兵器を披露しました。また、市民約10万人と60の山車が参加した祝賀パレードでは「和諧(調和のとれた)社会」や「民族の団結」をテーマにした華やかなプログラムが続きました。

昨年来の金融危機を考慮して、60周年の式典は規模を縮小した「エコ型、省エネ型でいく」といわれていたはずですが、ふたを開ければかつてないほどの豪華絢爛さ。これにより中国は、国内外にその国力や軍事力の発展を見せつけたことになるでしょう。台頭する中国の存在感を強くアピールするねらいもあったと考えられます。

ところで、国慶節の始まりは1949年10月1日。北京の天安門広場に30万人を集めた建国式典が行われ、毛沢東主席が中華人民共和国の成立を宣言したことに由来します。翌50年から行われていた解放軍や農民、労働者らによるパレードは、70年代に「文化大革命」(文革)の政治的混乱などから一時、全面中止となりましたが、建国35周年となる84年の国慶節に復活。以来、中国で「五年小慶、十年大慶」(5年の小慶、10年の大慶)といわれる通り、5年ごと、10年ごとの節目の年には大規模なパレードが行われ、天安門の楼上から中国共産党・政府の要人たちが観閲することが多いようです。
その10年の大慶、しかも60周年の「還暦」の年にあたった今年の祝賀式典を、中国が国家行事として重視していたことは想像に難くありません。パレードが行われた北京のメーンストリート・長安街は片側5車線に拡張され、主要な道路沿いは計4000万鉢という花のプランターや赤いちょうちん、五色の旗で彩られました。ビルや家々の玄関にも中国の国旗がいっせいに掲げられ、祝賀ムードを盛り上げています。

一方で、パレードの本番と4回にわたる予行演習のために大掛かりな交通規制が行われ、市民は不便を強いられました。テロ対策のために五輪を上回るともいわれる厳戒態勢が敷かれ、街にはどこかしら緊迫ムードが漂っています。私もパレード終了後に、天安門からほど近い繁華街の王府井を訪れましたが、商店やレストランはすべて休業。警官隊らが“アリのはい出る隙もない”ほどの厳しい警戒にあたっていました。市民の中には「国慶節は外出するにも不自由で、自宅でテレビを見るしかなかった」とぼやく人も。

還暦を迎えた大国が、本当の意味で「調和社会」を実現することができるのか。指導者たちのかじ取りに、人々からは大きな期待が寄せられているようです。

写真:国慶節を記念する大型花壇は人気の的に。花のプランターで中国地図を表している(10月1日、北京市中心部で)


小林さゆり ■小林さゆり

フリーランスライター、翻訳者。長野県生まれ。
2000年9月から5年間、中国国営の『人民中国』雑誌社に日本人文教専家として勤めたのち、フリーランスに。
北京を拠点に、中国の社会や文化、暮らしなどについて、日本の各種メディアに執筆している。

著書に、『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、 訳書に、『これが日本人だ!』(バジリコ)。

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