冷たい木枯らしの吹きすさぶ夜でしたが、広い階段教室の中は、若いアニメファンの熱気と活気に包まれていました。
中国の名門大学、清華大学の漫画・アニメーションサークルである「次世代文化と娯楽協会」(次世代)の新入生歓迎会がこのほど北京の同大学で開かれ、新会員となった100人余りが先輩学生たちから盛大な歓迎を受けたのです。
清華大学で唯一の漫画・アニメサークルとして1999年に発足。年間会員は約600人を数え、漫画本の貸し出しやコスプレ撮影大会、アニメソング歌合戦の開催、同人誌の制作や東京で開かれる漫画の祭典「コミックマーケット」への自主的参加など、北京の学生サークルの中でも際立った活動をしています。今年5月には日本から人気声優の山口勝平さん、成田剣さんを北京に招いた大型アニメファンイベントを主催し、中国ファンの熱いエールを2人に届けて大成功を収めました(助成・国際交流基金、後援・在中国日本大使館ら)。
次世代の新会員になった男子学生・胡さん(大学1年)は、小さいころからテレビ放送されていた日本のアニメに親しみ、最近では恋愛アドベンチャーの「AIR」やミステリーの「ひぐらしのなく頃に」といった夢のある日本アニメが好きだといいます。
「ふるさと四川省にはこうした(非営利の)アニメサークルがなかったので、活動はとても楽しみ。いい年をした青年が“オタク”でいいのか?という葛藤はありますが、ここに来ればそんな恥ずかしさも恐れもない。同好の仲間をたくさん増やしたいですね」と目を輝かせていました。
中国には古くから1コマの風刺マンガや「連環画」と呼ばれる小型の絵本がありましたが、漫画やアニメが大ブームとなったのは1980年代に手塚治虫のアニメ「鉄腕アトム」がテレビ放送されてから。以来それは中国の子どもたちの心をしっかりとつかみ、近年全国放送されているアニメだけでも「ドラえもん」「ドラゴンボール」「テニスの王子様」「名探偵コナン」「クレヨンしんちゃん」「ちびまる子ちゃん」など枚挙に暇がありません。最近のぞいた北京の大手書店にも『ヨメトレ!』『となりの801ちゃん』『150pライフ。』といった正式ライセンスを取得した日本コミック近作の翻訳版が並んでいました。
もちろん、こうした人気に乗じた海賊版の出版やインターネットによるアニメ作品の違法ダウンロードといった問題がないわけではありません。しかし中国政府は近年、国際法に基づく改正著作権法の施行で海賊版の締め出しをいっそう厳しくしています。つい最近では、日本と中国の企業が初めて共同制作したアニメ「三国演義」が世界的に話題になるなど、漫画・アニメ分野での新しい合作ビジネスも生まれています。
そうした中で、中国ファンのおもむきを知り、ネットワークを広げる次世代サークルからは、まさに“次世代アニメ”“次世代合作”の担い手が現れるかも。
99年の発足当初から同サークルにかかわり、現在は顧問を務める男子大学院生の于智為さん(28)は「1人では何もできないけれど、信頼できる友人がいたからこそ10年間続けられた。このサークルと仲間たちは、かけがえのない宝物。これからもみんなが楽しめるイベントを開いていきたい」。漫画やアニメで覚えたという流暢な日本語で、新たな仲間を迎えた抱負を語っていました。
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新入生歓迎会では先輩学生の作品などが披露された(2009年10月)
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| コスプレ姿も決まっている(清華大学のアニメ同人祭で、08年12月) |
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