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時代うかがうネット用語

 中国の北京に暮らすフリーランスのライター・翻訳者として、中国語のウェブサイトを頻繁にのぞいています。中国の最新事情を知るのにインターネットは便利なツールだからですが、次々と生まれてくるネット用語には、目を丸くすることもしばしば。個人ブログやチャット、掲示板に突如として現れる“新語”には悩まされますが、それでもユーモアのセンスや今っぽさがうかがえて引き込まれます。


 例えば、「BF」「GF」といえば中国でもボーイフレンド、ガールフレンドの略語として浸透していますが、それと同様の使い方として「GG」「MM」というのがあります。順に中国語の「哥哥」(グーグ、兄さん)、「妹妹」(メイメイ、妹)から発音を取って略語にしたもので、「あなた(君)はさ~」といった呼びかけの言葉として、また彼氏、彼女を指す言葉として、よりフランクな感じが出ています。


 恥ずかしかったり、強すぎたりして直接いうのは憚られるような言葉を、隠語にして使う場合もあります。「喜歓」(シーホワン、好きだ)は、発音が似ている「稀飯」(シーファン、おかゆ)に、イケてない顔の男性は「青蛙」、女性は「恐竜」になるのだとか。「恐竜」だなんて失礼ね!と思いますけど、直接「不細工」などといわれるよりは、ユーモラスかもしれません。


 「腐敗」(フーバイ)といえば、お役人の腐敗事件のことかと思いきや、ネット用語では異なります。中国語の発音を取った「FB」と略されており、その多くが「会食する、遊びに行く」ほどの若者言葉に変わっています。「今度、一緒にFBしようぜ」などと使いますが、もとの意味を考えれば、シニカルな笑いも多少含まれているようです。


 ほかに、最近流行しているネット用語としては「山寨」(“山中の砦、盗賊の棲み家”から転じて、模造品やニセモノのこと)、「雷人」(カミナリに遭ったようにびっくりすること)、「不差銭」(“カネに不足はない”、テレビのコントから流行語に)という社会事象から広まったもの。「草食男(子)」「肉食女(子)」、「宅男、宅女」(オタク)など日本の流行語から伝わったもの。「886」(バイバイラ)、「3Q(39)」(サンキュー)といった英数字を音訳したものなど、それこそ無数に生まれています。


 中国のネット人口は現在約3億6000万人、携帯電話の加入総数は7億件超で、いずれも世界1の規模。デジタル・ネイティブ(生まれた時から生活にデジタルがある人々のこと、1990年代以降生まれ)の多くが社会人になるのもあと数年といわれています。


 世相を知り、国境や世代を超えたコミュニケーションツールともなり得るネット用語。刻々と生まれ変わる言葉たちに驚かされつつも、ウオッチングを楽しんでいます。




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北京の繁華街や住宅街でよく見かける「網吧」(ネットカフェ)。ホールで1時間2元(約25円)くらいから利用できる。
     
小林さゆり ■小林さゆり

フリーランスライター、翻訳者。長野県生まれ。
2000年9月から5年間、中国国営の『人民中国』雑誌社に日本人文教専家として勤めたのち、フリーランスに。
北京を拠点に、中国の社会や文化、暮らしなどについて、日本の各種メディアに執筆している。

著書に、『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、 訳書に、『これが日本人だ!』(バジリコ)。

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