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春節ひかえ、正月ムード高まる北京

春節ひかえ、正月ムード高まる北京

今年も「春節」(しゅんせつ=旧正月、今年は2月14日)を迎えるころとなりました。古くから中国の民間に伝わる年中行事で、人々が1年のなかでも最も楽しみにしている祝日です。中国ではこのとき、旧暦の大晦日からはじまる1週間の大型連休が設けられます(3日間の法定休暇と、前後の土日の振替休日を合わせた7日間)。とりわけ大晦日の夜には、家族がそろって団らんし、ごちそうを囲んで新年を祝うことが大事だとされています。


春節を10日ほど後にひかえた北京の街でも、正月ムードが高まってきました。繁華街の商店の軒先などには赤い中国ちょうちんが掛けられ、“虎年”を象徴するトラのオブジェもあちこちに見受けられます。市内10カ所以上で開かれる縁日の市「廟会」(ミャオホイ)や、春節を盛り上げる爆竹・花火の販売店の開設準備も進んでいます。


そして、春節シーズンの到来に気づかされるといえば、大荷物を抱えて移動する帰省客の姿でしょう。


北京の陸の玄関口、鉄道の北京駅を訪ねると、平日のこの日も早朝からたくさんの帰省客でごった返していました。「農民工」(農村部からの出稼ぎ労働者)といわれる人たちでしょう、久しぶりの帰省と見えて土産物の入った大きなビニール袋を背中に1つ、前にも1つ吊り下げて、両手にもそれぞれ抱えて、駅構内へと急ぐ人々の姿が見られました。


駅前広場には臨時のキップ販売窓口が約60カ所設けられ、氷点下の寒さをこらえて人々が長蛇の列をつくっていました。


中国では、正月休暇をふるさとで過ごす帰省客のために春節の前後40日間、列車や飛行機、長距離バスなどを増便する「春運」と呼ばれる特別輸送体制がとられます。今年はこの春運期間に史上最多ののべ25億4100万人が移動すると見込まれており、お目当てのキップを入手するのは例年以上に至難のわざともいわれています。


河南省のいなかへ12時間かけて帰るというある出稼ぎの中年男性は「キップが買えるかどうかわからないよ。何日キャンセル待ちをしてもいいから、家族のもとへ大晦日までに帰らなければ……」とため息混じりに話していました。


こうして春運のキップは入手困難であるために、コネを使った購入やキップの偽造、ダフ屋の不正売買が横行し、例年のように問題視されています。今年は不正撲滅のため、一部の鉄道駅で「実名制」によるキップの購入も試行されはじめました。


出稼ぎ者が殺到する長距離列車では、数日のあいだ身動きがとれないほど混雑することも珍しくありません。春運システムの改善にはなおも時間がかかるでしょうが、人によっては年に1度か、数年に1度となる待望の里帰りです。駅前の雑踏にもまれながら、今年も帰省客たちの「一路平安」を願わずにはいられませんでした。


13億人口の多くが心待ちにする春節も、もうすぐそこです。






小林さゆり ■小林さゆり

フリーランスライター、翻訳者。長野県生まれ。
2000年9月から5年間、中国国営の『人民中国』雑誌社に日本人文教専家として勤めたのち、フリーランスに。
北京を拠点に、中国の社会や文化、暮らしなどについて、日本の各種メディアに執筆している。
著書に、『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、 訳書に、『これが日本人だ!』(バジリコ)。


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