心連心Essay


クライマックス・シリーズについて

クライマックス・シリーズについて2008年の日本プロ野球は、セントラル・リーグ(以下セ・リーグ)、パシフィック・リーグ(以下パ・リーグ)のペナントレースを制した巨人と西武が、その後のクライマックス・シリーズでもそれぞれ優勝をして日本シリーズでまれに見る熱闘を繰り広げた。最後は第7戦までもつれ込み、最後は西武が勝利した。

ところでこのクライマックス・シリーズ、つい最近まで日本のプロ野球にはなかった。2004年にパ・リーグで始められ、一定の興行収入を収めたことから2007年にセ・リーグでもスタートした。導入前までは、それぞれ長いシーズンで最も勝利数をあげたチームがそのままリーグの覇者となり、日本シリーズへの出場権を手に入れることができたのだが、今はリーグの3位までがクライマックス・シリーズへの出場権が与えられ、そこでトーナメント戦が戦われ、そこで優勝してやっと日本シリーズへ出場できる。

この制度が導入された理由は様々だが、最も強い理由として最近のプロ野球をより盛り上げるためである。レギュラー・シーズンの成績だけで優勝チームを決定していた以前は、シーズンの終盤となってくると優勝チームが見えてきて、とくに首位チームが独走している場合は、他のゲームはほとんど消化試合となって盛り上がりに欠けていた。よくて個人のタイトル争いくらいが話題となるくらい。それよりは最後にどんでん返しの可能性がある方が最後までファンに楽しんでもらえるということで開始した。ここ昨今のプロ野球人気の低下を見る限り、この導入理由は納得できる。ただ、あまりにもバランスが悪いのである。セ・リーグ、パ・リーグともに6チームで構成されており、それぞれが約140試合近く戦う。

クライマックス・シリーズについて チームが少ない割りに試合数は多い。1シーズン中に同チームと戦う回数が20試合以上にもなる。
要は、レギュラー・シーズンで1位になってもそれほど得ではないのである。これは正しく本末転倒であり、クライマックス・シリーズはわずか2〜3週間の会期であるのに対して、レギュラー・シーズンは半年にも及ぶ。いくらクライマックス・シリーズが盛り上がっても、レギュラー・シーズン中に独走して強いチームがそのまま優勝の保障がもらえないという状態では、やる気もなえる。ましてやシーズン中イマイチパッとしないチームがそのまま日本シリーズに出場したら、日本シリーズそのものの盛り上がりがなくなってしまう。「本当に強いチームなら、シーズンだけではなく、クライマックス・シリーズでも勝てなくてはおかしい」という声もあるであろう。でもこれは先ほどのバランスの話で考えるとわかりやすい。140試合という長期決戦で強いチームと、わずか数ゲームという短期決戦に強いチームと全然戦い方は変わってくる。例えば北海道日本ハム・ファイターズというチームがある。このチームにはダルビッシュ有という日本のプロ野球界最高のピッチャーがいる。このような選手が一人いるだけで短期決戦では大きく勝率が変わってくる。極端な話、ダルビッシュが先発した時にしか勝てなかったチームとシーズン中総合的に強く勝ててきたチームの勝敗の結果は短期決戦となると確率が変わってくる。シーズン中に強かったチームを評価するのであれば、単純に最後のわずか数試合だけでその運命を決定するというのはどうも納得しがたい。アメリカの場合は、チーム数が圧倒的に多く、シーズン中に同じチームと戦う回数についても日本の場合と比べると圧倒的に少ない。逆に数多いチームの中からシーズンゲームだけで最強チームを判断するのは難しく、その判断はプレイオフ(※日本プロ野球の「クライマックス・シリーズ」に相当)に委ねられる。もし日本のプロ野球がクライマックス・シリーズの制度を維持したい場合は、フランチャイズを増やすしかないと思うが、これはなかなか難しいであろう。


※日本シリーズ=アメリカの大リーグでいうワールド・シリーズ。
 日本のプロ野球はセントラル・リーグとパシフィック・リーグとに分かれており、それぞれの優勝チームが事実上日本一のチームを目指して戦われる。

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