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3月3日の雛祭りは「上巳」とも「桃の節句」とも言われ、女の子の健やかな成長と幸せを願う日です。聞くところによれば雛祭りは、古代日本の女の子の紙人形遊びと中国から伝わった3月の上巳厄除け祈祷が結びつき、徐々に変化して現在の形になったそうです。最初は自分の不幸を紙人形に託し、それを海や川に流していました。この“流し雛”の風習は現在でも残っています。そして江戸時代以降進化が始まり、現在の商品化された雛人形段飾りになったのでした。
雛人形段飾りの飾り方にもこだわりがあります。真っ赤なじゅうたんを敷いた雛壇の上に、古代の宮廷生活の一場面を再現します。最上段には豪華な衣装のお内裏様と“十二単”をお召しになったお雛様。二段目に三人官女、三段目に五人囃子、四段目に左大臣と右大臣、五段目に三人の仕丁、六、七段目には小さな嫁入り道具や牛車などの生活道具が並べられます。更に白酒、菱餅、桃の花と花寿司など精巧で美しいお料理が供えられます。段飾りは両親が娘のために、または母方の祖父母が娘の生んだ女の子のために用意します。段飾りの価格は非常に高く、また住宅も狭いことから、現在ではシンプルな“変わり雛”を飾る家庭もあります。壇飾りを飾っておくのは3月3日までです。一般に、できるだけ早く雛人形を片付けなければ、娘の婚期が遅れると言われています。
高度ビジネス化社会の日本においては、当然ながら雛祭りは経済の起爆剤であり、地域住民間の交流を促す潤滑油でもあります。一ヶ月前から早くもいろいろな“雛人形”が生活の中のいたるところで見られました。その華やかさは、ある時いささか眼精疲労を感じさせられたほどでした。“雛祭り”は一層多種多様化して全国に広がっています。長いものは一ヶ月もの長期にわたって続きます。地方色、ブランド色、時代色を備えた手の込んだ素晴らしい人形はどれも逸品ぞろいで姿かたちも様々です。人形達が何百、何千、何万と群れを成してあなたの目の前に姿を現したとき、あなたはまるで人形の国に迷い込んだように感じることでしょう。初めての不思議な感覚が沸き起こり、眺めているだけで心が楽しくなり、その素晴らしさは言葉で表現できないほどです。その上歌い踊りながら華やかに祝う人々、繊細で美しい雛祭り特製の料理…十分な目の保養ができ、たっぷりとご馳走をいただき、たくさん楽しい話を聞き、あなたは思わず感嘆のため息をつきながら言うことでしょう“女に生まれてきて本当に良かった!”と。特に雛祭りの習慣の無い国から来た人は尚更羨ましくてならないはずです。
雛人形を眺めていたら、現実生活の“お雛様”が一人一人私(筆者)の目の前に踊り出てきました。
雛祭りの日に生まれた多美おばあちゃん(現在はひいおばあちゃんになりました)は、古い時代の嫁、新しい時代の姑です。言葉づかいと振る舞いは当然礼節を備えています。87歳という高齢ながら、日常生活では絶えず常に新しいことにチャレンジし続けています。また折につけ親戚、友人、向こう三軒両隣を気に掛け世話を焼いています。多美おばあちゃんは70歳のとき、なんと“ホームヘルパー”2級の試験に合格しました。ボランティアで自分より若い人までをもお世話したそうです。ひょっとしたらこれが、彼女がこのように健康で幸せでいられる秘訣の一つなのかもしれませんね。もう一人、喜子ママ。三世代同居のサラリーマン家庭の“専業主婦”であり、三人の子供の母親でもあります。家事全般をこなすことは言うまでも無く、その上長い間貧困地区児童支援のNPO活動に従事しています。また同時にホストファミリーとして、長期短期で来日する学習目的の外国人数十名を前後して受け入れてきました。それから私の周りにも仕事・家事を両立させている働く女性がいます。本当に彼女達を敬服して止みません。長い間ずっと男は外女は内という家庭モデルが主流の日本社会では、実にこれら多くの多美さん、喜子さん、墩子さん、芳子さん、美代子さん…が日本社会の半分を支えているのです。彼女達の姿から日本女性の才能能力、優しさ、強さ、忍耐力、苦労をいとわず恨み言を聞き流す姿勢が見えました。やるべきことを黙々と行う彼女達の精神力、幸せな微笑みに、私はいつも心を打たれ励まされています。
25年前に男女雇用機会均等法が制定されて以来、女性の社会進出はますます増加し、現在では当たり前のこととなっています。しかしながら驚くべきことに、日本全体の社会体制と生活環境には、これに伴う相応の変化がありません。それが現実生活の結婚願望をかなえられなくしていると言え、年々未婚者が増え続ける原因の一つでしょう。雛祭りは女性に喜びと幸せをもたらすことができないだけではありません。「昔は雛人形が大好きで手放すことができませんでした。美しくて幸せな憧れの人形に未来を託していました。でも今は人形達を見るとむしろ孤独を感じ、憂鬱な気持ちが増します」。まさに独身の女友達が言ったこの言葉のごとくなのです。
もう一度これらの姿かたち様々な雛人形をじっと見つめました。私はそこに、自身の知恵を頼りに生き、新しい考え方で損得を計りにかける天秤を持ち、“ウーマノミクス”旋風を口実にして、新しく多様化した日本の家庭経済モデルを探し出し、そこから“女の夢”を解釈する、そんな現代社会に生きる“女性達”を見た気がしました。
ここで、多美おばあちゃんと全ての3月生まれの女性たちに謹んでお祝いを申し上げます。“皆さん、お誕生日おめでとうございます!”
最後に、この場をお借りして、22年前ボランティアで筆者を受け入れてくれた須賀好弘氏とそのご家族の方々、坂田邦次氏とそのご家族の方々そして国府台女子学院へ深く感謝の意を述べさせていただきます。
この一年の尊い時間と機会を与えてくれた、日本国際交流基金日中交流センターに感謝いたします。
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