中国に響いた日本の歌 木津茂理さん 特別インタビュー


2010年6月7日から10日にかけて、上海万博日本館イベントステージにて日本人若手邦楽アーティストによる公演が開催されました。


その中の一人として参加されたのが、和太鼓と民謡という独自のスタイルで日本の邦楽を継承されている木津茂理さん。今回心連心ではその木津さんにインタビューをお願いし、上海万博ステージで感じたこと、さらにご自身の活動について語っていただきました!



木津茂理

心連心

上海万博公演を終えて、ご感想を一言お願いいたします。


木津

4日間で29回のステージをこなしました。初めは、途中で疲れて嫌になってしまうかなと心配だったのですが、結果はそんなこと全くなかったですね、日本の民謡を聴いてくださっている中国の方々を目の当たりにして、逆にパワーを貰うことができました。本当に楽しかったです。


心連心

もともと中国に対して何か特別なイメージをお持ちでしたか?


木津

以前国慶節の時に中国へ行ったのですが、文化の違いにびっくりしたことが沢山ありました。喧嘩しているのかなと思うほど大声で話している人もいたりして、初めはちょっと面喰った部分もありましたが、逆にいえばパワーがあるということなんですね。中国と日本を比較すると、今の日本人にはまだまだパワーが足りないなと思います。


心連心

今回は日本の民謡になじみのない方々の前での演奏でしたよね。どんなことを心がけてステージに臨まれたのでしょうか?


木津

初めはやはり怖さがありました。中国の皆様に伝わるかどうかすごく不安だったですね。でも民謡の魅力の一つである楽しく心が躍るような感覚は、思った以上にお客様にダイレクトに通じていました。一緒に手拍子をとっていただいて、リピーターで何度も聴きに来てくださった方もいました。さらに「竹田の子守唄」という民謡を歌った時なのですが、驚いたことに客席から合唱が始まったんです!やはり民謡はもともと一般大衆の生活に根付いたものなので、伝わりやすいのかもしれませんね。


心連心

木津さんの「太鼓を歌いながら民謡を歌う」というスタイルはどのように生まれたのでしょうか?


木津

私の父が民謡の教室をやっていたので、まだ母のお腹の中にいたころからずっと民謡を聴いて育ちました。三味線、太鼓、踊りなどを一通り習っていたのですが、私は舞台の真ん中で振り袖を着て歌うことよりも、太鼓が一番楽しかったのです。その頃はこれに命をかけたいという思いまでには至っていなかったのですが、その後太鼓奏者として活動していた時に、ウズベキスタンで開催された世界民族音楽祭へ日本代表としてたった一人で参加したことが転機になりました。太鼓を叩きながら民謡を歌ったパフォーマンスが大変喝采を受けて、「このスタイルでできるんじゃないか」と思ったのです。

それまでは洋楽やブラックミュージックにはまっていた時期もあって、ゴスペルに挑戦したこともありました。ただ、そのようなことを経験して、ふと足元を見たら「自分には民謡があるんだ」と改めて気付いたわけです。


木津茂理
木津茂理
木津茂理

心連心

長い道のりの果てに、ご自身の原点に辿りつかれたのですね。では、木津さんの感じる日本民謡の魅力とは何でしょうか?


木津

たとえば歌舞伎や能であると、ある程度知識がないと分からない部分がありますが、民謡は元々お百姓さんや漁師といった庶民の人々の歌なので難しい知識はいらないのです。特に津軽(現在の青森県)の民謡はリズムがいいので聴きやすいかも知れません。例えば「津軽甚句」という歌を上海万博でも披露したのですが、中国の皆さんも一緒に掛け声を合わせてくれました。



心連心

これからもより多くの方に民謡の魅力を感じていただきたいですね。 最後に中国の皆様、そして心連心をご覧になっている皆様にメッセージをお願いします。


木津

中国の先人の方々には、沢山の素晴らしい文化を伝えてくださったことに感謝いたします。近代化が進んだ現在ですが、その過程で忘れ去られてしまった沢山の良いものがあります。今の若い世代の皆さんには、それらをぜひ大切にしてほしいと思います。私は日本文化としての民謡を絶やしてはいけないという気持ちを強く持っていますが、一人でも多くの人に我々のDNAの一部でもある民謡を知ってもらえるように、頑張りたいと思います。

ぜひ皆様とも一緒に何かできる機会があれば嬉しく思います。





木津茂理

■木津茂理さん プロフィール
木津茂理 (民謡歌手、太鼓奏者)


民謡一家に育ち、幼少の頃よりテレビやラジオの民謡番組、各民謡ステージに出演。
既存の民謡観にとらわれず、洋楽系アーティスト、海外アーティストとのコラボレーションも積極的に行っている。 1997年、第一回ウズベキスタン世界民族音楽祭にて、審査員特別賞を受賞。これを機にソロライブを開始し、「太鼓を打ちながら唄う」という独自のスタイルで活躍中。ソロ活動の傍ら、2002年には津軽三味線の重鎮、澤田勝秋師とデュオ『つるとかめ』を結成。国内公演はもちろん、東南アジア、ヨーロッパ、中央アジアなど海外公演も積極的に行っている。


作品情報:ミニアルバム「JAPANESE VOICE」
木津茂理さんの詳しい活動内容は公式ウェブサイトまで
http://www.shigeri.jp/index.htm



木津茂理  

ページの先頭へ戻る