外からみると、日本という国は、ぶんぶん唸る工場群が隅から隅までずらっと並び、輸出を待つ商品がぐるぐる渦を巻いているような国、という以外のなにものでもない、というイメージを抱きやすい国です。人はみな他の国の人々を、あるイメージを描いてみるくせがあるのだと思います。ものごとを単純化するのが人間の習性というものです。
しかし、日本はある一次元からみることなど到底できない国です。非常に複雑で、たくさんの顔を持つ国です。ある意味で、最も大きく、最も便利である国のひとつである、と同時に、日本の面積の大部分は、でこぼこした田舎なんです。
この古さと新しさ、古代と現代が混在している状態はどこにでも見ることができます。たとえば、伝統的な工芸品を売るお店は、国際ファッションの最前線を彩るブティックと隣り合っていますし、道路を渡れば、コンピューターのアウトレットショップで働く人たちがすぐお隣のラーメン屋で昼食を食べています。そんな風景があちらこちらで見られるのです。
また、日本列島が北から南まで長く伸びているため、気候でさえも大変バラエティに富んでいます。つまり、沖縄トロピカルアイランドから、雪の深い、ツンドラ地帯のような状況になるところさえある北の北海道まで、というように。
この国は、旅行をすればするほど、その多様性がいかに幅広いかがわかります。日本のすべての地域ごとに、実にさまざまな地魚に溢れ、その地方独特の野菜や漬物があり、多様な余暇の過ごし方があり、中でも、私にとって個人的にもっとも興味深い、お国訛りがあります。
私は来日してから始めて東京にいくまでに、5年間日本の田舎で暮らし、その期間に3種類のお国訛りを身につけました。もちろん、日本人ならだれでも基本的にはお互いに分かり合えるのですが、それぞれの人々の話し方がもつ「味」ってものは、まったく、一人ずつ違うのです。
この多彩な違いというもののおかげで、日本に住んでいるものにとって、大変興味深い日々を過ごすことになります。どんなに何回も旅行に行っても、毎日の通勤という小さな旅においても、必ず新しい発見をすることができるのです。すでに日本に住んで25年になりますが、実際、いまだにこの国の表面をまるでちょっとかじっただけ、のように感じてています。
生涯いつかは絶対に行ってみたいと思っている国「中国」に住んでも、きっと同じことなのだろうと思います。みなさん、この多様性というものを、ぜひ、楽しんで生きていこうじゃないですか。そして、人間の生活ってシンプルだ、なんて、絶対に思わないことです。 |