20世紀の終わりごろ、百年の古都北京に、初めて日本のものとまったく同じ看板がかけられた。それは、「KFC」や「MAC」をわざわざ「肯徳基」や「麦当労」などと書き換えるのと違って、オレンジの地色に「吉野家」の文字が和風の字体で書かれており、漢字伝承の歴史を意味すると同時に、中国のファストフード市場に東アジアの米食文化が登場したことを告げていた。
20年ほどの間に、吉野家は中国全体で150以上の店舗を持ち、誰でも知っている店になったばかりでなく、経営管理が成功したことでも有名なブランドとなった。昨年、北京吉野家快餐有限公司は「中国チェーン業界大会」で「中国小売業最優秀賞」を受賞し、飲食チェーン企業がこの賞を受賞するさきがけとなった。今月、中信出版社が出版した「吉野家的逆境経済学」は、たいへん大きな話題になっている。
ところが、日本の本家「吉野家」は運に恵まれず、苦しい道を歩んでいる。今年2月期の決算では、赤字が当初の13億円から89億円に膨れ上がった!これは2005年に狂牛病問題で牛丼の販売が停止された時より深刻で、1990年に吉野家が株式上場して以来、最悪の状況になっている。起死回生を期して、吉野家は4月7日から13日まで、牛丼を270円に値下げした。ところがライバルの「すき家」は直ちに、4月9日から21日まで、「松屋」は4月12日から23日まで250円に値下げという手段で迎え撃った。驚きの声が上がり、掲示板やブログには「悲惨な状態の吉野家」に関する様々な書き込みが溢れかえった。
デフレと需要不振の日本では、顧客を引きとめるためにファストフードチェーンはそれぞれ苦肉の策を展開している。コストもいとわずにメディアに次々広告を出したり、量は変えずに大幅な値下げを行ったりして、価格競争によって牛丼業界のライバルたちが首を絞めあうような結果になっている。だが直接の影響を受けるのは、減俸されたりリストラされたりする一部の従業員たちなのだ。値下げに喜ぶ声の中で冷静になって考えることは、この武器なき戦争が果てしなく続いていったとしたら、消費者は最終的に本当に「漁夫の利」を得ることができるのだろうかということである。
ネットの掲示板を見てみると、「安すぎると、食べていても不安になる」「やっぱり500円ぐらいが妥当なのではないか」など、客観的な意見を持つ人も少なくないのだ。中国の平均的物価は日本の十分の一程度だが、吉野家の販売価格は日本での価格とほぼ変えていない。それでも「高すぎる」と非難されないばかりか、早くて便利でおいしくて健康的ということで人気を博している。ただただ値段を下げる方法だけではなく、創意によって困難を抜け出す方法もあるに違いない。吉野家の中国での成功が、本家に対して何か有益な啓示を与えることはできないだろうか?
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