週刊「心連心」マガジン


「人」世相・若者の生き方

2人のための小さな駅

多くの中国人の読者のみなさんは、私と同じように「2人のための駅」という美しい文章によって、日本人の間でもあまり知られていない「小和田駅」のことをご存知だと思う。数年前、ある中国人の記者が日本を訪れ、ふとしたことから山林の間に、改札口もなく駅員もいない、「電車が停まってもほとんど誰も降りることがない」小さな駅を発見した。そして中国の青年向けの雑誌に、「1人も住んでいない小和田で、誰が電車を待つのだろう?独りぼっちの駅は、やがて消えてなくなるのではないだろうか?」という素朴な疑問を持った。


その時、記者は偶然現地の郵便配達員に出会い、彼と一緒に小道を辿って、壊れた家々を通りすぎ、荒れ果てた村の外に奇跡のような場面を見つけた。1軒の清潔な木造家屋、緑でいっぱいの畑、60歳ほどの夫婦がその畑で農作業をしている。軒下では、白い犬が日向ぼっこをしている。郵便配達員は記者に言った。村にはこの2人の老人しかいないが、電車は彼らのためにこの駅に停まるのだと。「私は何と言っていいか分からなかった。しばらくして、私は駅が孤独ではないことに気づいた。駅のホームに座って、改めて遠くの景色を眺め、この2人のための駅を記憶にとどめた。私は、この小和田という名の日本の駅を決して忘れることができないだろう。」―この最後の深い感慨は、無数の中国の読者の胸を打った。


数日前、知り合ったばかりの日本の鉄道マニアに、何気なく小和田駅のことを話してみたところ、彼は感激のあまり私の手をしっかりと握りしめ、涙を落とさんばかりだった。愛知、静岡、長野の3県が接する付近にあって、道路もないため、車やバスなどが近づくことができないこの小さな駅は、一部の鉄道マニア、特に「駅マニア」にとって「秘境の駅」として崇められているのだそうだ。3年前には、ある有名なテレビ番組で、「1度降りてみたい景色が美しい無人駅」のトップに選ばれたという。狂喜する彼は、異国の理解者を見つけたと感じたのだろう。


その鉄道マニアは私に言った。ダムを作ることになって、その一帯の村人たちは次々に故郷を去っていった。ダムができた後には、その2人の老人だけが、駅から歩いて20分ほどの民家に住み続けていた。小和田駅がなければ、彼らは外とつながることもできないし、生活用品は貨物専用ケーブルカーで対岸から送られてくる。この世の中で、郵便配達員とおまわりさん以外では、彼らのような「駅マニア」だけが彼らを訪ねていく。真冬には、駅の水道管の凍結を防止するために、「小和田駅長」が「水道をしめないでください」という張り紙をするという。


なぜか私は突然、「2人のための駅」の現実の場所に行ってみたくなった。中国人記者の感動、日本の鉄道マニアの愛情、着眼点と興味はまったく違うが、この小さな無人駅が両国の青年の心に、このように大きな共鳴を生み出したのだ。私はその真実の姿に直接触れてみたいと心から思った。




2人のための小さな駅
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