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人々が根を張る町、阿佐ヶ谷で、あかねは今を生きる |
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昨年の夏、あかねちゃんの家族はこの阿佐ヶ谷に引っ越してきた。 彼女にとって初めての一軒家。一人っ子の彼女は、家族3人だけでは広すぎると思った。 「家だけじゃなくて、町も前に住んでたところより大きいし、道は広くて人も多い。それに、お母さんと散歩で脇道を歩いたらネコもたくさんいました!」家でネコを飼っているというあかねちゃんは嬉しそうに当時を振り返る。 こうして約1年前、高校入学と同時に大きな家、大きな町での生活がスタートした。 あかねちゃんの学校は、自分の好きな格好で登校していいという考えだ。普段学校に着ていくなんちゃって制服(学校指定のものではなく、まるで制服のように着る服のこと)を着て、宝物のギターを手にする。 これが、あかねちゃんのいつものスタイル。 彼女は高校の軽音楽部に入り、バンドを組んでいる。 担当はギター。組んでから約1年の若いバンドだ。邦楽やアニメソング、ヴィジュアル系の音楽をコピーしたり、自分たちで作ったオリジナルも2曲持っている。バンドのリーダーとあかねちゃん2人がメンバーのまとめ役だ。 彼女たちの本拠地は「ゆう杉並」だ。全国でもめずらしい、中高生のための児童館である。放課後や週末、阿佐ヶ谷周辺の中高生たちはここへ遊びに来る。住宅街にあるこの施設はアットホームな雰囲気だ。 あかねちゃんも他の生徒たちと同様に職員と仲がいい。 ここの職員は押し付けるのではなく、生徒たちが考え、企画した事を支援する方法をとっている。頑張れば自分たちでライブもやらせてもらえる、そんなところがあかねちゃんのお気に入りだ。 「ゆう杉並」にはバンド練習のためのスタジオもあり、施設はかなり充実している。 あかねちゃんもギターを肩にかけ、自転車に乗ってバンドメンバーと集まる。 彼女が今一番やりたいのはゆう杉並でも行われる、学校外でのライブ。 「先輩たちのライブ、すごくかっこいい!プロみたいにうまい人もいる。高3になると受験で忙しくなるし、今しかできないから、ライブやりたい!」 彼女はやりたいことに一直線だ。 おこづかいをもらわず、自分でアルバイトしたお金で電子ピアノと、ギターを買ったという。 バンド練習はなくても楽器を弾かない日はない。 憧れの先輩のバンドの、ライブスタッフにもなった。 最近では音楽中心の生活に移行している最中で、週2日だけ行っているパン屋のアルバイトも辞めようとしている。 |
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そんなあかねちゃんが小学6年生の頃から現在までずっと続けていることがある。 お菓子作りだ。 100円ショップで買ってきたガトーショコラのレシピを、コーヒーに合うように自分流にアレンジした。レシピを見ただけで味を想像できる才能を持っているのだ。 毎回味が一定していることから、両親の知り合いのカフェに出すことになった。月に2〜3回そのお店のために作り続け、今年で5年目になる。 「人と関わるのが好きだし、何かしてあげるのも好き。あとは1から何かつくるのが好き」 門限は21:00、童顔で恋愛観にも純粋な彼女だが、自分の意見をしっかりと言えるのはこのような経験からくる自信からかもしれない。 将来の話になると、あかねちゃんは真剣な目になった。 今はバンドに夢中だが、プロになるつもりはないと言う。 「バンドは今しかできないから」 高校を卒業したら特技を活かして製菓学校に行くことも考えているが、まだ両親と相談中だ。 「やりたい事がはっきりしていないのに大学に行くのは意味がないと思う。お金ももったいないし」 彼女は人任せにせず、自分で納得したいからこそ、将来のことも簡単には決められない。 まだ見えない将来にすこしの不安を抱きながらも、憧れをエネルギーにスケジュール帳は今月もいっぱいだ。 このコーナーでは東京近郊に生きる若者を通して日本を紹介していきます。 次回も、お楽しみに。
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